放射線、気にする?

今回はここ3年ほど書こうかどうか迷ってたことを書きます。ここ3年ってのは要するに震災後ってことなんですけどね。ま、大したことじゃないんですけど。

目次

ガリバーの全車放射線検査

ガリバーのクルマは全車放射線検査済みってのを見てちょっとモヤっとしてね。いや、もちろん放射線検査してくれるのはいいことだと思いますよ。そこまでしてくれるガリバーは立派。

でも、少し考えたことがあるんです。

ぜんぜん気にしなくていいはずだけど

実は私、大学で物理学科で原子核物理研究室に所属しておりました。放射線を扱う実験を毎日やってました。というかそれが本業の研究だったんです。ま、研究室内では最下層のダメ研究員だったんですけどね。

福島の原発事故の影響が震災後も色々と報道されてましたけど、とりあえず放射能の影響は関東に関しては全く問題ないってのは事故数日後にはわかってました。いろんな機関が発表する放射線量を信じるならね。私は信じる派だったので。

でもね、あれだけものすごい量の報道とかインターネットの書き込みとかで「本当に大丈夫なのか?」って感じで言われてるのを見ると不安になるんですよ。私は曲がりなりにも原子核物理研究室にいたので、たぶん放射線の知識に関しては上から0.01%くらいの位置にいると思うんです。それでも不安になるんですよ。しょうがないから震災直後は大学時代の教科書を物置から引っ張りだして読みなおしたりしたものでした。そんで「そうだよね、やっぱり大丈夫だよね」とか確認すんの。

不安の負の力はとてつもない

何が言いたいかっつーと、不安の力ってのはものすごくて、私みたいに知識がそれなりにある人間でも、知識の砦を壊されちゃって心が崩れそうになるってこと。知識を積み上げれば積み上げるほど、不安には強くなるんだと思います。でも、どんな不安にも負けずに冷静な判断を下すにはとてつもなく強固な知識が必要。

どのくらいのレベルになればそうなれるんだろう。きっと、本当に放射線の不安を跳ね返せていた人は日本の中でも数十人くらいしかいないんじゃないかなあ?とか考えます。今、日本の大学生は257万人くらいいるらしいんですけど、その中で物理を専攻している人は5%と考えて13万人。その中で日常的に放射線を実験に使っている人は5%と考えて6500人。この6500人の中で、更に限られた、強固な知識を持った人だけが不安に打ち勝てたわけです。あ、これだと大学職員の人が入ってないか。まあでもそんなに人数的には多くないからね、職員の人は。

みんな不安だったんだよね

でも、不安になったからって急に知識をつけられるわけでもないんで、誰かを信じて命を預けるしかないんだよね。お医者さんにはみんな簡単に命を預けるじゃん。他にも飲食店では「毒を入れないモラルを持ってるよね?」って点で料理人の人に命を預けてるし、家の中に居る時には「いきなり柱が折れたりしないよね?」って点で大工さんに命を預けてる。そういう感じで、放射線に関しては放射線の知識を持った人を信じて命を預けるしかないと思うんだよね。

不安なのはわかるけどね。私も放射線に関しては知識がある側だけど知識の砦を崩された人間なので、命を預ける側でもあります。技術が高度化した現代ではそういうふうに覚悟を決めるしかないと思うんだよな。

だからさ、有識者の言うことを信用するなら、ホントはクルマまで全車放射線検査なんかする必要ないと思うんだよね。ホントはね。

そんなことを、ガリバーが放射線検査をやってるのを知って考えたのでした。

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