NASVAさんに衝突安全性試験車種がなんであんなに少ないのか聞いてみた
東京モーターショー2013について色々書いております。ダイハツやスズキといった自動車界の頂点に立つ自動車メーカーだけでなくBNLジャパンさんみたいな新興(?)の部品メーカーさんのブースもありました。でも、その他にもいろ~~んな団体さんのブースがありました。例えば今回書くNASVAさん。
なんであんなに少ないの?
NASVAさんの正式名称は「独立行政法人自動車事故対策機構」。政府出資の法人さんです。
我々一般市民から見ると、衝突安全性試験をやってるところってイメージが強いですね。ブースにはオフセット衝突の試験をしたと思われるクルマが展示してありました。間近で見るとかなりの迫力です。
しっかり綺麗なおねいさんもいらっしゃいました。手に持っているのは「JNCAP」のロゴのボード。NASVAさんがやってる衝突安全性試験のブランド名みたいなものですね。
で、私はこのNASVAさんに関してすごーーく疑問に思っていることがあったんです。それは、衝突安全性試験に採用される車種の少なさ。市販されてるクルマって、全部衝突安全性試験をやっていそうなものじゃないですか。でも違うんです。NASVAさんで衝突安全性試験をされている車種は全体から見るとかなり少ない。例えば、平成25年度に衝突安全性試験がなされたのは僅かに5車種です。ちょうど説明資料が展示してありました。
その5車種とは、ホンダ・N-ONE、スズキ・スペーシア、トヨタ・クラウンアスリート、日産・シルフィ、マツダ・アテンザ。
たったの5車種かよ、って思いません?私は思います。だって、今日本で買える新車の車種って確か200くらいあるんですよ。そのうちの5車種ですよ。わずか2.5%。これじゃ新車買うときに全然比較できないですよね。
なのでそこのところをブースにいた方にお聞きしてみました。
私「あの、すいません。」
NASVAの方「はい、なんでしょう?」
私「今年、衝突安全性試験をしたのって5車種だけじゃないですか。」
NASVAの方「はい、そうです。」
私「今、日本で買える車種って、100か200種類くらいありますよね。」
NASVAの方「そうですね。」
私「なんでたったの5車種しか試験しないんですか?」
NASVAの方「あー、それは、予算の関係です。」
やはり予算ですか。まあ、明らかに社会的意味のある試験だから、やらない理由っつったらお金の問題くらいだろうなあと素人ながらに思ってはおりました。
私「予算ですか。試験には年間いくらくらいかけているんですか?」
NASVAの方「年間の予算はだいたい1億円です。」
1億円。1億円で5車種だから、1車種あたり2000万円で試験していることになりますね。これが高いか安いかっつーと、かなりコストカットしていると個人的には感じます。NASVAさんの衝突安全性試験では、実際に車をぶつけて試験しているのですが、主な試験だけで、試験の種類が6つあります。
まずは乗員保護性能試験として下記の4つ。
- フルフラップ前面衝突試験
- オフセット前面衝突試験
- 側面衝突試験
- 後面衝突頭部保護性能試験
更に、歩行者保護性能試験として下記の二つ。
- 頭部保護性能試験
- 脚部保護性能試験
この6つの試験を、新車を買って実際にぶつけてやっているわけです。ということはたぶんクルマは6台必要なわけで、1台100万円なら600万円、1台200万円なら1200万円かかる計算になります。試験のための施設もかなり特殊なものになるだろうし、それも含めて1車種あたり2000万円で試験しているのならかなり頑張っている方でしょう。
私「1億円ですか。。。年間5車種というのはあまりにも少ないと感じるんですが、もっと増える予定はないんですか?」
NASVAの方「今のところはないですねー。どちらかというと予算が削られる方向になっておりまして・・・。」
うーん、こんなところにも国の予算削減の流れが来てるんでしょうか。でも今NASVAさんの財務諸表を見たら、国からの、クルマの安全性に関する交付金は年間59億円あるんだよね。衝突安全性試験の予算は1億円だっていうけど、この59億円の中身をもうちょっと組み替えたりして何とかならないの?と少し思いました。まあ、簡単ではないのでしょうけど。
ともかくお金の問題ではしょうがないと思い、お礼を言って立ち去ろうとすると「アンケートに答えて下さい」と仰る。こちらがアンケート用紙。両面コピーになってました。
これって、NASVAがんばれ的なことを書いたら国からの交付金が増えたりするのかな。でもそれっていいことなんだろうか?とか若干迷いつつ、私としてはやっぱり衝突試験対象車が増えて欲しいので、そういう感じに答えておきました。
う~ん、予算、予算。独立行政法人の運営って利益を求めればいいわけじゃないから色々難しいんだろうな。でもやっぱり、年間5車種は少なすぎると思います!