「軽自動車は事故ったらペチャンコになるから危険」は本当?
クルマの販売台数の4割が軽自動車になった現在でも、「軽自動車は事故った時が怖いから選ばない」という方は今もかなりいらっしゃいますね。軽自動車は衝突安全性が低いと感じているということだと思うのですが、それって本当でしょうか。
「衝突安全基準は完全に同じ」!
上記のように軽自動車は事故に弱いというイメージがある半面、ダイハツのお店とかに行くと「いや、軽自動車も普通車と全く同じ衝突試験をクリアしてますから、全く同じですよ」と聞いたりします。私も長年、どっちがホントなんだろうと良くわからないまま今まで来てしまいました。
で、今回自分で調べてみました。
そもそも日本のクルマの衝突安全性は、独立行政法人自動車事故対策機構(略称NASVA)が一貫してテストを行い、車種毎に1つ星~5つ星の評価を下しています。クルマのメーカーが勝手に安全だって言ってるわけじゃなくて、公的な第三者機関がチェックしているわけですね。
で、そのテスト内容は、衝突に関するものを挙げると下記の4つです。
・フルフラップ衝突
時速55kmで壁に衝突させます。
・オフセット衝突
時速64kmで、前面の40%だけがぶつかる形で衝突させます。
・側面衝突
静止状態のクルマに、側面から、950kgの台車を時速55kmで衝突させます。
・後面衝突
静止状態のクルマに、同車種のクルマを後ろから時速36.4kmで衝突させます。
このテスト条件に、軽自動車・普通車の区分けは存在せず、「全く同じ条件で」テストが行われます。なので、ディーラーの方が「軽自動車も普通車と全く同じ衝突試験をクリアしている」というのは間違っていません。
ただ、軽自動車に有利な点も
ただ、問題は軽自動車の車重は一般的には軽いということです。フルフラップ衝突・オフセット衝突の試験では、止まっている壁にクルマを衝突させるわけですが、車重が軽い方がクルマの運動エネルギーは小さいわけで、その分、重いクルマよりもボディーが弱くても同じ安全性を確保することができるはずです。
なので、試験と同じように壁に突っ込むような形の事故ならば軽自動車も普通車も同じような壊れ方をするはずですが、例えばクルマ同士が正面衝突するような事故だと、ボディーそのものは軽自動車の方が弱いはずなので、やはり軽自動車は大破しやすいということになるでしょう。
後面衝突でも同じことが言えそうです。テスト対象と同種のクルマを後ろからぶつけるのですから、車重が軽ければ、ぶつかってくるクルマの衝撃も少なくて済み、その分弱いボディでもテスト上の被害は少なくて済むということになります。
対して、側面衝突はテスト対象のクルマが停止している状態に、横から「950kgの台車を時速55kmでぶつける」わけですから、軽自動車でも普通車でも、衝突安全性の評価は完全に同条件であると言えそうです。
まとめますと、
・静止している壁にぶつかるような事故の場合、衝突安全性評価が同じなら、軽自動車も普通車も安全性は全く同じ。
・互いに走行している状態で正面衝突するような事故の場合、衝突安全性評価が同じなら、軽自動車の方が安全性は低い。
・側面衝突の場合、衝突安全性評価が同じなら、軽自動車も普通車も安全性は全く同じ。
という感じですね。正面衝突の場合は、軽自動車は星の評価よりも被害が大きくなる、ということが言えそうです。
とはいえ、人身事故のうち正面衝突が占める割合は僅か2%に過ぎないというデータもあるようなので、それほど気にしなくて良いのかもしれません。まあ命にかかわることなので、この2%ってのが大きい数字なのか小さい数字なのかってのは議論が分かれるところでしょうけれども。
そんなわけで、やっぱり軽自動車は「ほんの少し」事故には弱いというお話でした。でもやっぱり、私は軽を選び続けると思います。
最近、多く発生している衝突される事故、においては軽自動車の車体強度は何の基準も保証も存在しない、と思いますが、どうでしょうか。特にあおられた上で停止した状態で大型トラックのような車間距離もろくに取らない重量車に衝突された場合、衝突される側はより大きく、重いほど安全性は高いと思います。
そうでは無いと物理的に説明いただけるなら私も次期、購入車両の選択肢に軽自動車を加えたいと思います。