マガジンXさん、そりゃないよ SEVというインチキ製品

私はマガジンX大好きです。クルマ雑誌だと「ベストカー」が一番売れてるような気がするけど、個人的にはマガジンXの方が好き。物言いがズバズバしてる。ベストカーは色んな自動車メーカーの広告が入ってるから、色々としがらみがあるんだろうと思います。

でも、そんなマガジンXにちょっと気になる広告記事が載ってました。「SEV」という製品の広告記事。

100mSVってあなた・・・

SEV。「セブ」と読みます。インチキ商品です。インチキと言い切っておきます。Amazonでも売ってます。マガジンX2015年6月号(5月発売号)の98ページに載ってます。

SEV ダッシュON
by カエレバ

このSEVは、クルマの4隅に置くだけで、

  • ドライバーの疲れを軽減する
  • ドライバーの感情面に作用し、運転が楽しくなる
  • クルマの走行に作用し、路面からのショックが少なくなる
  • カーステレオに作用し、音にメリハリが出る

という触れ込みの商品。立派な公式サイトもあります。

特許もとっているそうです。下記の検索ページから「物質活性化方法および装置」と検索すると出てきます。
特許情報プラットフォーム|J-PlatPat

確かに特許は取っているようです。

但し、その特許の中身はインチキです。特許って、特許が出願された時に特許庁の人がその特許の中身の検証をするわけじゃなくて、ただ単純に「同類の特許がないか」を審査するだけなんだよね。「この特許の内容はインチキか否か」は審査しないの。だからこういうインチキ特許も通っちゃう。

で、特許の中身ですが、効果はいろんなものがたくさん謳ってあるんだけど、クルマの燃費に対する内容を書き出すとこんな感じです。

SEVは、100ミリシーベルト程度の放射線を出すことで、時速100km/hでの高速走行時の燃料消費量を最大で約40%低減させます。

特許の内容によれば、SEVは放射線発生装置です。放射線って、あの原発とかから出てくる放射線です。危なそうですよね。で、その量がハンパじゃないんですよ。「100ミリシーベルト」って書いてありますよね。これ、異常な量です。こないだ福島の原発付近の高速道路が開通してその放射線量が話題になったけど、その高速道路の放射線量は「5マイクロシーベルト」程度です。それに対して、このSEVは100ミリシーベルトの放射線を出すと主張している。100ミリシーベルトって、5マイクロシーベルトの2万倍です。みんな「なんかやだよね」って言ってる量の2万倍の放射線を出しちゃう。これ、本当に存在したらあっという間に販売禁止です。ヒトが死んじゃう放射線量は10シーベルトくらいだと言われているので、このSEVを肌身離さず持っていたら100時間程度で死にます。

たぶんSEVの販売元は「放射線量を調節してる」みたいな主張をするんだろうけど、だったらその効果も減るはずで、まともに販売できるレベルである2万分の1の放射線量にしたら、その効果も2万分の1くらいになるはず。まあ、それもSEVの特許がインチキではないって仮定しての話だけど。たぶん本当は、何もかもインチキだと思います。

マガジンXも経営苦しいのかな

こんなインチキ商品を紹介しちゃうなんて、マガジンXも経営苦しいのかな。でもこんなインチキ商品を紹介するくらいなら、言うことが多少丸くなっちゃっても自動車メーカーの広告載せたほうがマシっすよ。

ちなみにこのSEVの反対側のページにも相当怪しい、というかたぶんインチキな商品の紹介が載ってた。静電気除去で燃費が改善するってやつ。んなわけないでしょ。

マガジンXはドライバーの運転マナーとかの啓発にも熱心であるような印象を個人的には受けてます。比較的良心的な雑誌と言っていいでしょう。だからこそ、こういうインチキ商品には気をつけて頂きたい。おねがいしますよほんとに。