アイドリングストップってどのくらいやったらお得なの??
軽自動車界ではアイドリングストップ機構が花盛り。どの車も燃費向上に血眼になってアイストを装備しています。
でも、よく聞くのが「エンジンスタート時にはたくさんガソリンを使う」ということ。エンジンが回り始める最初はバッテリーから大量の電気を使わなきゃいけない。で、そのバッテリーの電気は結局エンジンで発電機を回して貯めてるわけで、あんまりアイドリングストップしてると結局損なんじゃないの??って個人的には思ってました。そのモヤモヤを晴らすべく、ちょっと計算してみました。
やっぱりアイドリングストップはお得だった
何を計算するかというと、結局何秒エンジンを止めたら得なのよってこと。エンジン始動時に消費するエネルギーをガソリンの量に換算して、それとアイドリング時に消費するガソリンを比べて、エンジン始動時に消費するエネルギーを生むために必要なガソリンの量は、アイドリング時に消費するガソリン何秒分かを調べます。
エンジン始動で消費するガソリン
まずはエンジン始動時。スターターモーターの出力は、色々調べたところだいたい1.5kWよりも小さいようです。なので、今回は1.5kWと置きます。
そしてこの出力をどのくらいの時間必要とするかですが、いつもエンジンをかける時に「キュキュキュキュブルルーン」という音が鳴る時の「キュキュキュキュ」の音が鳴っている間、スターターモーターが動いているはずなので、だいたい3秒ぐらいかなと。
そういうわけで、エンジン始動に必要なエネルギーは
1.5kW * 3秒 = 4.5kJ(ジュール)
となります。
そして次に、このスターターモーターが1.5kWの出力を出すためにどのくらいのエネルギーの入力を必要とするかを考えます。これはなかなか文献が無くて困ったのですが・・・、まあざっくり半分ぐらいでしょう。ということで、出力エネルギーに対し倍のエネルギーが必要になります。
4.5J * 2 = 9kJ(ジュール)
次に、この9kJ分の電力を発電するために、自動車のエンジンはどれくらいの効率でガソリンを消費するかを考えます。自動車のエンジンの熱効率として一般によく言われるのが30%です。なので、これで割ります。
9kJ / 30% = 30kJ
ということで、エンジン作動には30kJのエネルギーが必要ということになりました。
ガソリンは1リットルあたり36801kJのエネルギーを持っているので、30kJを持つガソリンの量は、
30kJ / 36801kJ = 0.000815L
です。つまり、エンジン始動時のために消費されるガソリンの量は0.000815Lです。
境目は3.756秒!
これに対し、省エネルギーセンターの資料では、アイドリング時のガソリン消費は10分間に130ccです。1秒間に直すと、0.000217L。
なので、エンジン始動時のために消費されるガソリンの量が、何秒間のアイドリングストップに相当するかというと、
0.000815L / 0.000217L = 3.756秒
・・・つまり、3.756秒以上エンジン停止できるのなら、アイドリングストップした方が良いということですね。これはびっくりしました。もっともっと長く止めなきゃ得はしないんじゃないかと思ってたので。もちろん上記計算は厳密なものではないですが、それほど間違ってはいないと思います。
また、エンジン始動の回数が増えるとバッテリーの消耗が激しくなるという問題もあります。ただそれに関しては、現状では多くの場合、カー用品屋さんに行くとアイドリングストップ車対応バッテリーしか置いていないので、ほとんどの人には選択の余地が無いでしょう。
これまで私はアイドリングストップがなんか嫌で、アイスト作動時間は短い方が良い、みたいなことを思っていたのですが、この計算をしてだいぶ考えが変わりました。こんなに得なら、どんどんアイドリングストップした方がいいですね。世の中の流れは間違ってなかったんだな。